「魂(たま)とは何?」 と聞かれて、あなたはどう答えるでしょうか?
ふだん何気なく使っている「魂」という言葉ですが、その本当の意味を深く考えたことがある人は少ないかもしれません。実は、私たちの 魂 は単なる心や精神ではなく、身体との関係 の中で捉えることができます。古代日本の文献である『ホツマツタヱ』には、人の魂を 「魂(タマ)」 と 「魄(シヰ)」 という2つの要素に分けて考える独特の思想が記されています。
本記事では、スピリチュアル初心者にもわかりやすいように、この 日本古代思想 における「魂(タマ)」と「魄(シヰ)」の考え方を日常感覚と融合させて解説します。魂とは 何か、魄の意味 とは何か、そして魂と身体の関係や両者のバランスが私たちの スピリチュアルエネルギー(心と体のエネルギー)にどのような影響を与えるのかを、一緒に見ていきましょう。
魂(タマ)とは?心や記憶をつかさどるエネルギー
まず魂(タマ)とは何かを押さえておきましょう。日常的には「魂」といえば、人の中に宿る心や精神、いわゆる「心のエネルギー」を指すことが多いですよね。「魂が抜けたようだ」などと言うとき、それは心ここにあらずの状態を表しています。このように魂は意識や記憶、良心など、人間の人格や精神活動の源となる部分を意味します。
古代日本のホツマツタヱの教えでは、この「魂(タマ)」は宇宙の中心「アモト」から人にもたらされたものだとされています。わかりやすく言えば、天(宇宙)由来のスピリチュアルエネルギーが魂なのです。例えば他人を思いやる気持ちや内なる良心、直感などは魂に属する要素です。魂は私たち人間の精神的な核であり、輝きを与える存在だと言えるでしょう。
魄(シヰ)の意味とは?生命を支える身体のエネルギー
一方、**魄(シヰ)とは何でしょうか。普段あまり聞き慣れない言葉ですが、ホツマツタヱでは魂と対になる要素として語られています。魄は身体(肉体)**そのもの、あるいは身体から生じる欲求・エネルギーを意味します。日常感覚で言えば、生きるための本能的な欲求が魄に当たります。
例えば:
- 食欲(お腹が空いて「食べたい」と感じる)
- 性欲(子孫を残し繁栄しようとする本能)
- 物欲(物を手に入れて身を守り生活を豊かにしたい)
- 名誉欲(社会で認められ地位や名声を得たい)
これらの「欲しい」という気持ちはすべて魄から生じるエネルギーです。古代の教えでは、魄(シヰ)は地球(クニタマ)から与えられたものとされます。つまり、地(大地)由来のエネルギーが魄です。魄は私たちの肉体の維持や種の保存に不可欠で、人間がこの地上で生き抜くための原動力と言えるでしょう。
魂と身体の関係:タマとシヰのつながり

魂(タマ)と魄(シヰ)は、それぞれ天と地から授かった2つのエネルギーですが、人間という存在の中で一つに結びついています。古代日本思想では、魂と魄をつなぐ絆のことを**「タマノヲ」(魂の緒)と呼びました。魂と身体(魄)がタマノヲによって結ばれることで、はじめて私たちは生命(いのち)を営むことができるのです。
逆に言えば、人が死を迎える**ときには魂と魄の結びつき(タマノヲ)が解かれ、魂は天(アモト=宇宙の中心)へ還り、魄は地(クニタマ=大地)へ戻ると考えられていました。これは「人は亡くなると魂が天に昇り、肉体は土に還る」という私たちの感覚とも通じるものがあります。
図:魂(Tama)は宇宙のエネルギー、魄(Shii)は地球のエネルギー。魂と魄は「タマノヲ」という紐で結ばれて人間(Tamashii)を構成しており、死後は魂は天へ、魄は地へそれぞれ還るイメージ。
魂と魄が出会い結ばれる場所こそが人間界です。ホツマツタヱでは、すべての人が宇宙から授かった**「分け御魂(ワケミタマ)」すなわち魂の分け御霊を持ち、みなが見えないところで宇宙(アモト)と繋がっているとも説かれています。私たち一人ひとりの中に天と地の両方のエネルギー**が宿り、それが結びついて生きている——とてもロマンあふれる魂と身体の関係性ですね。
魂と魄のバランス:スピリチュアルエネルギーの調和
では、魂(タマ)と魄(シヰ)のバランスについて考えてみましょう。人間らしく幸せに生きるには、魂(精神)と魄(肉体)のエネルギーが調和していることが大切です。どちらか一方に偏りすぎると、不調や不幸の原因になると古代から言われています。具体的には、以下のような場合です。
- 魂 > 魄(タマが過剰な状態): 欲求(魄)を抑えすぎてストイックになりすぎると、魂ばかりが先走ってしまいます。心が肉体を置いてどこか上の空になり、現実世界を楽しめなかったり、最悪の場合は生きる気力を失ってしまうかもしれません。例えるなら「仙人」のように現世離れしすぎる状態です。
- 魂 < 魄(シヰが過剰な状態): 欲求(魄)が暴走し、魂の声がかき消されてしまった状態です。「欲しい欲しい」が止まらず自分の欲望だけに溺れていくと、良心(魂)が曇ってしまいます。その結果、健康を害したり運氣を下げたりする原因にもなります。いわゆる本能のままに暴走している状態です。
どちらの極端も、本来のスピリチュアルな調和から外れた不自然な状態と言えます。古代の人々は、人の中の魂と魄という陰陽のエネルギーを上手に均衡させることが大事だと考えました。ホツマツタヱには「一霊四魂(いちれいしこん)」という教えもあり、自分の心を省みること(反省)や欲望を適度にコントロールすることで魂と魄とをつなぐタマノヲの乱れを整え、心身のバランスを保つ実践が説かれています。
幸せに生きるためには、魂は魄があってこそ輝き、魄も魂があってこそ正しく働くということを忘れてはいけません。魂と魄が手を取り合ってバランス良く働いているとき、人は心地よく充実した毎日を送ることができるのです。それこそが本来の**「人間らしい幸せ」**なのだと古代の教えは私たちに伝えています。
まとめ:魂と魄を理解して日常に活かす
私たちの魂と身体の関係を、古代日本のユニークな思想「ホツマツタヱ」を通して見てきました。魂とは 天から授かった精神エネルギーであり、魄の意味 は地から与えられた肉体エネルギーでした。現代人の感覚でも、心(魂)と体(魄)の両方が揃ってこそ人間らしく生きられることは実感できますよね。古代の人々はそれを美しい物語と概念で表現し、スピリチュアルな知恵として後世に残しました。
まずは日々の生活で自分の魂と魄の声に耳を傾けてみることから始めてみてください。たとえば、良心が「これは良くない」と囁いたら魂の導きに従ってみる。一方で「お腹が空いた」「休みたい」と感じたら魄の訴えを満たしてあげる——そんな風に心と体のバランスを意識するだけでも、きっと毎日の充実感が変わってくるはずです。
魂と魄という2つのエネルギーが調和したとき、私たちの人生はより豊かで幸せなものになるでしょう。ぜひ古代の智慧をヒントに、自分自身の心身を整えるヒントとしてお役立てください。
